2012年05月13日

青空〜前篇〜(第19話)

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青空〜前篇〜(第19話)


静かな室内で鏡の前に佇む少女

時折、笑ったり、怒ったり・・・悲しい顔をしている。

・・・


いかにも女の子らしい部屋で既に30分も鏡とにらめっこをしている。


しかし、彼女の目は・・・笑っていなかった。

「ふぅ〜・・・」

ため息か深呼吸か分からない吐息。

部屋を出て学校へ向かう。


・・・


途中、何人かと挨拶をして教室に入る


「おはよう!」

「あっ・・・おはよう」


「ん〜・・・らしくないね?どうしたの?」


親友が私の微妙な表情に気付いたようで・・・

「うん・・ちょっとね!」

「なになに?もしかして恋しちゃったとか?」


キーンコーン カーンコーン・・・


「あ!後で話してよね」


予鈴に救われた感じだ。

恋なんか長いことしてないなぁ。

私の軽はずみに言える内容では無かった。


私の人生は約2カ月前の夏休みに終わった。
人生が180度変わったという方が適切かもしれない。

私はコンビニのアルバイトをしていて、毎日が楽しかった。

あんな事件が待っているなんて想像すらしなかった。

・・・


7月の比較的涼しい一日だった。


7月下旬・・・

バイトを終えた私は徒歩で家路を目指していた。

西日が眩しく、あと数分もすれB暗くなるだろうと予測出来た。

あの日は・・・住宅街なのに誰ひとりとして人の姿を見掛けなかった。


残り数百メートル
あの角を曲がれば自分の家が見える。


!!

角を曲がろうとした瞬間に肩を叩かれた。




振り返ってみると知らない男三人組。


「なんですか?」

そのうち一人がニヤニヤしながら声を掛けて来た。

「きみ・・・戸田まなみって子?」

!?


いきなり本名を言われて戸惑った。

えっ?なに?
なんで私の本名知ってるの?


どうしよう!?


「どうなんだよ!?ハッキリしろよ!」

いきなり怒鳴られて怖くなった。考える間も無く・・・


「はい・・・そうですけど」


そういうと男が三人が顔を見合わせて

「コイツだな!」

「間違い無いな!」

などと言い始めた。


えっ?何が間違いないの?

!?

一人がいきなり私の腕を掴んで、後ろに回した。


「痛い!何するんですか!!?」

もう一人が私の口元をふさいで。


「うっ!なっ!・・・ぶぐず・・・」

言葉にならない悲鳴をあげた。

咄嗟の出来事に混乱する!手足をバタつかせて必死に抵抗するが

男三人の前では無意味だった。


バシッ!!

「静かにしろ!」という怒声がして顔を叩かれる!


なんで!?

私が一体何をしたって・・・いうの?


もしかして誘拐?

私は大人しくしている方が安全だと思って力を抜いた。


・・・


ブゥ〜〜ン・・・

無理矢理ワゴン車に乗せられた私は怖くて、ずっと震えていた。


日本において戦後、身代金誘拐が成功した例は1件だけ・・・
被害者の大多数が殺されていることを知っていたから


余計に怖かった。


でも・・・違った。

目隠しをされ、ガムテープで口と手を縛られていた。

何処に連れて行くんだろう?私の両サイドに男がいて
二人とも喋らなかった。

・・・


ほんの10分ほど移動して車が止まった。

何処だろ?

!?

左隣に座っていた男が私の胸を触りだした。

「んぐうぅぅぅぅぅ・・・」

必死に抵抗するが・・・

・・・


「よし!やろうぜ!」

えっ!?


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜・・・・


私は泣きながら叫んだ。


けど



代わる代わる三人の男にレイプされた。

初めての経験をどこの誰かも分からない三人に奪われた。


バシャ・・・バシャ・・・


犯し終えた三人が道端に私を放り出す。


「もし誰かに喋ったらこの写真バラまくからな!」

それだけ言うと車は走り去った。

・・・


腫れた頬、乱れた衣服、血のついた下着・・・


涙しか出なかった・
死んでしまいたかった。


・・・


誰にも言えない。
家族にさえ打ち明けなかった。


「ただいま・・・」


平静を装って帰宅して直ぐに部屋で着替える。

・・・


知られたく無かったから家族には顔を見せなかった。


黙っていれば大丈夫

そう思って、毎日・・・泣いていた。


忘れたくても決して消えない最悪の記憶。

夏休みが終わり・・・私は外出出来ず、しばらく学校にさえ行けなかった。


それでも普通に戻りたいと思って学校に行くことにした。


誰かが知ってるんじゃないか?それだけが怖かった。

朝・・・学校は行くと皆から声を掛けられた

「大丈夫?」

「心配してたんだから」

など・・・知ってる人はいなかった。

良かった。


「メール位返してよね!」
「あぁ・・・ゴメン。携帯・・・ちょっと調子悪くって」

・・・


携帯電話は、あの三人に取られたままだ

あの出来事は、いつか時間が解決してくれる。

私が黙っていれば、誰にも知られずに夏休み前の私に戻れる。


そう信じて疑わなかった。

あとは携帯を解約して、知らぬ顔で毎日を過ごせば良い。

・・・



私の小さな願いは



いとも・・・簡単に裏切られる。


学校に通い始めて数日が過ぎた頃・・・

警察が私を尋ねて来た。


どうしよ!?レイプがバレた?みんなに知られちゃう!
生きていけなくなる!!


うちの母親が対応して

「お母さんも一緒に警察署にご同行願います」


やっぱりバレたと思った。
パトカーの中で、お母さんは無言のまま外を眺めてた。

・・・


取調室・・・

ドン!!

「私・・・そんなことやってません!!!」


想像していたことと違う警察の言葉に腹が立ち

思いっきり机を叩いた。

「ですが、被害者男性の証言によると確かに君たちだと言っていますが?」


「何かの間違いじゃないんですか!?」


警察が切り出した内容は・・・最悪だった。


援助目的のオヤジ(被害者)が私と待ち合わせしたらしい。
そして待ち合わせ場所に現れたのは3人の男と1人の女の子。

四人掛かりで被害者を痛めつけると現金を奪って逃げたという。


その時の携帯アドレスから私が浮上したらしい。
捕まった3人も私で間違い無いと言い張った。


やられた。

携帯を使ってオヤジ狩りの共犯者に仕立て上げられた。


お母さんは、うつむいたまま、ずっと泣いている。

なんで泣くの?自分の娘が信じられないの?


「取りあえず、この携帯電話はお返しします。被害者男性が、なるべく
穏便にしたいとの要望がありまして・・・それに君達4人は、まだ未成年ですから
不起訴になるでしょうし」


翌日・・・


お母さんだけ警察に呼び出されて出掛けていった。

憎い。
あの3人を殺してやりたいと思った!

私の人生をメチャクチャにしておいて、まだ壊す気なの?

・・・


レイプがバレ無かっただけマシだと思った。


お母さん警察で何聞かれてるんだろう?

不起訴処分になったことで捕まることはなかった。


けど

このことでマスコミなんかが騒いだら・・・どうしよう!?


気が気では居られなかった。一人リビングを往復する。

親に心配させたくない気持ちが逆に心配させている?


今は、母親を待つ事しか出来なかった。


数時間後・・・


お母さんが帰ってきて二人きりになって
「まなみ・・・本当に援交とかしてない?」

!?

「私やってない!たまたま落とした携帯、悪用されただけだから
信じて!!」


私の答えに、お母さんは信じてくれたようだった。

「まなみを信じるわ。でも、妊娠とか無い?大丈夫?」


なんで!?
そんなこと聞くの?遊んでると思ってるの?

そういえば私・・・


けっこう長いこと来てない。


生理不順だとばっかり思ってた。
妊娠なんて考えもしなかった。

・・・


「9週目ですね」
産婦人科の医師が無表情に言う。
隣りではお母さんが、また泣きだしていた。


親不孝な私でごめんなさい。

夜・・・
帰宅して、お父さんに激しく殴られた。


「相手の男は誰なんだ!?」


初めて怒り狂ったように言うお父さんが怖かった。

相手なんて言えない。
言えるはずが無い。

何処の誰かも分からない3人組。

「勝手にしろ!まだ子供のくせに!そんな風に育てた覚えは無い!出て行け!!」


・・・


私が悪いの?

ねぇ?


どこまで私は苦しんだら・・・楽になれるの?


たくさん泣いた。
泣いて泣きまくった。

顔が痛いよりも胸が痛かった。生きていることが苦しかった。


翌朝・・・


鏡の前で笑ってみる。
左目が少し痛むがチークで、ごまかせる。

笑ったり、怒ったり、腫れた顔を見て・・・


私は、生きてきても良かったですか?


鏡の中の私は・・・



はやり泣いていた。


学校へ行くと友達が心配そうに見つめて来る。

この悩みだけは言えなかった。また暫く学校を休む事になる。

明日・・・


中絶することをお母さんと決めた。

父親の欄は未記入で書類を提出

・・・


最後までお母さんは無言だった。何も聞かないでいてくれることが

一番、嬉しい

私には、一つ上のお兄ちゃんがいて暗い性格であまり好きじゃ無かった。

同じ家に居ながら顔を合わせることもなく、最近学校へ行ってないようだった。

・・・


私が療養の為に家に居た時のこと


ん?


部屋の前を通り掛った時、ドアが少し開いていて

誰かと会話しているのが聞こえた。

・・・


「えっ?あと10万ですか?もうお金無いんです・・・3万なら何とか」


会話の内容から誰かにカツアゲされているようだった。


次の言葉は、私を奈落の底に突き落とす。


「はい・・・。えっ?もう一回、妹とやりたいんですか?
でもアイツ、中絶したばっかりで!あ・・・はい。
分かりました。じゃあ妹が家を出たら連絡します。」


一瞬、言ってることが良く分からなかった。

私ともう一回・・・?

・・・


・・・


理解するまでに時間が掛った。

私は利用された

お兄ちゃんは苛められない代わりに私を売った。

自分のために実の妹を犠牲にした最低の人間

私の人生を台無しにした張本人がお兄ちゃんだったなんて


・・・


カラン・・・カラン・・・カラン・・・


踏切の前で悩んでいた。

・・・・


もう生きていたくない。
これから生きて行く自信もない

このまま生きてると、また襲われる。


それならば、いっそのこと死んでしまえば・・・


もうすぐ電車が来る。

遮断機に近づこうと少しずつ歩き出した。


ガシッ!!


いきなり腕を掴まれて振り返った。また知らない男性。


「まだ死ぬには早いんじゃありませんか?」


・・・


腕を掴んだ男の人は20代半ばくらいで短い髪の毛に切れ目

9月なのにロングコートを着ていた。

「離して!」


振り払おうとしたが、素直に離してくれない。男の人は信用出来ない。


「宜しければ、お話くらい聞かせてもらえませんか?」

・・・


頭では拒否しているつもりでも身体が言うことを聞かない。
彼の目を見ていると、従わなければイケない気になる・・・

・・・



闇の販売所


怪しげな建物の中に案内されると椅子と机だけの部屋。


彼は椅子に座るように指示し、私が座ると静かに喋りだした。


この無表情な室内が、私にはやけに落ち着いた。
別の空間にいるようで、うまく表現できないけど・・・


お母さんの腕の中に抱かれているような感覚

・・・


「恐怖から始まり、痛みが癒えぬまま家族から見放され・・・そして裏切られた
失意の果てに絶望して死ぬ。

そんなところですか?」


!?


なに?この人!?
私の一部始終を知ってるようなセリフに驚いた。



≪お詫び≫※作者より
青空〜前篇〜において援交や妊娠中絶の内容がありましたが、これは推奨したり
批判するモノではありません。

第1話(ゲーム)からのストーリー展開ができなくなるための表現です。

不快に思われた方への謝罪を致します。並びにご理解をお願い致したく、読み
進めていただければ幸いです。

青空〜前篇〜は終了です。
◇次回は後篇です◇是非、第1話(ゲーム)からお読みください。

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posted by まさるっち at 18:23| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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