2012年05月14日

青空〜後篇〜(最終回)

応援クリックお願いします。

短編小説 ブログランキングへ


青空〜後篇〜(最終回)

『あとがき』では第1話から最終回(第20話)までの詳細を記載しています。← こちらをクリック



『闇の販売所』(番外編)更新中


第1話(ゲーム)はコチラをクリック→ → 第1話(ゲーム)







あの3人組と何か関係があるの?一瞬・・・あの恐怖が脳裏をよぎる。

「ご安心下さい。単なる私の想像です。」


私の心配を打ち消すように彼が言い放った。

想像?こんなところに呼んだ理由が分からなかった。


逃げだした方が良いような気がして来た。


ガタ・・・!
椅子から立ち上がると

「私、帰ります!」


それだけ言うとドアに向かって歩き始めた。

・・・


「何処に帰るんですか?」

「何処って・・・うちに決まってるじゃない!!」


「止めたりしませんが、あなたに帰る場所はありますか?」


!?


この人・・・何が言いたいんだろう?

確かに家には・・・もう・・・

「私は闇の販売所という名前の店主をしてまして・・・」


彼は話の途中で

コホン!
と咳払いをして私を見つめる。


えっ?なに?そのお店が何か?


「どうせ・・・死んでしまう命なら幸せになりたいと思いませんか?」


死ぬのに幸せに?

「ちょっと意味が分からないんですけど」

・・・


「私は20年・・・あなたのような人を待ってました。」

!?

待ってた?20年も?
なんか怖いんですけど・・・


それと、何歳なんですか?


「単刀直入に言いますが

・・・


あなた・・・


私の販売所をやるつもりはないですか?」



「はぁぁぁぁぁぁぁぁ?」


なんの店かも知らない。というか私まだ高校生だし、意味分かんない!

「あなたに取って悪い話ではありませんよ」

「そんなの絶対にやりませんから!帰ります!」


「お待ち下さい。最後まで話を聞いたうえでお決めになっても良いんじゃ
ありませんか?」


彼の言葉には不思議な魅力があった。


何故か?


そんなこと私にも分からない。

ただ・・・

聞くだけなら良いかと思った。


「純粋な心の持ち主が人からの裏切りや暴力により憎しみや恨みに変わる。

その憎しみが大きければ大きい人ほど店主になれる。

あなたには・・・その素質があります。

難しく考えることはありません。ただ、私が来ている・・・このコートを
着るだけです」


「・・・」


「闇の販売所店主になる利点は来世の幸せです。」

「来世?」


「はい・・・何不自由の無い幸せです。たったそれだけ?と思いますか?
違います。その幸せを手にしている人間は世界中で、ごく僅か・・・
みんな何かしらの不幸があるのです」


確かに・・・
そうかもしれない。テレビでアフリカに暮らす人を見ると日本に生まれて
良かったと思う。


「歴代の店主たちが来たコートを着るだけです。それに人を不幸にすれば
するだけ来世が満たされます。
それと同時に彼らの記憶も受け継ぎますがね」


「は?」


「このコートには絶大な力と少しの意思があります。着れば・・・おのずと
何をすべきか分かりますよ」


「イマイチ理解に苦しむけど・・・取りあえずコート着たら力が手に入って
、来世が幸せになるってことでしょ?」


「まぁ・・・そう言うことです」


「なんかウソっぽい・・・」


・・・



「ウソなど付きません。ただ女性の店主は初めてなもので・・・」

「女性だと何か問題でもあるの?」


彼は少し笑いながら「まず・・・声質うあ喋り方が変わります。更に記憶の
9割が闇に封印され、喜怒哀楽の感情が『楽』だけになります」


「記憶なくなるの?そんなの絶対イヤ!!」


「今の記憶は・・・あなたを苦しめるだけじゃ無いですか?」


私の考えてることなんて、ぜ〜んぶお見通しって感じ。



今の記憶は消してしまいたい


「悪いことばかりでは、ありません。決して年を取りませんから」


「年?その・・・なんて言うか、ずっと永遠に店長やるの?」


「そんなことはありません。1500年も先の未来で・・・既に最後の店主は
決まっています。」


「1500年・・・!?」

「私と同じように・・・あなたにも後継者が見つかるはずです。」

「私、まだやるとは言ってません!」

「大丈夫・・・。私には、あなたの未来がわかる」


・・・


「一つだけ質問しても良い?」

「はい・・・なんなりと」


「何のために・・・そんなコートが存在するの?私が店長になったら、あなたは
どうなるの?」


「このコートの存在は、焦らなくても・・・いずれ分かります。後継者が決まると私は・・・」


「どうなるの?」


「消えてしまいます」


!?



「なんで!?消えたら意味無いじゃない」

「意味が無い?

逆です・・・


20年も年を取らずに生きた人間が行く先を考えれば、ごく自然な事」


・・・


「さぁ!どうなさいます?今なら引き返せます」

・・・


私は



私には、やらなければイケない使命に思えた。



「やります・・・」


「分かりました。では・・・このお店で一番の商品『闇の衣』をあなたに・・・」


彼は、ゆっくりと確実にボタンを外し始めた。



「最後にお願いあるんだけど・・・良いかな?」

彼の指が止まり
「なんでしょうか?」


「初恋の人の思い出だけ残したいの」


「それは・・・どうでしょう?なんとも言えませんが・・・

失ってしまうと記憶が9割。残り1割に賭けるしかありませんね」


・・・


ボタンを全て外し終わると彼は・・・


黒い霧に包まれた。


・・・


残されたコートを手に取り、私はコートを羽織った。

・・・


暗く・・・深い闇・・・

私の記憶は、ここに封印された。

見えているが感情とは違う行動に出る私



今日から、闇の販売所店主


遠い過去の記憶
遠い未来の記憶
二つが私の意識に入って来る。


・・・


「おや?さっそく注文のようですね」


私には全てがわかる。

あと5分もすれば闇の販売所に客が来る。心に・・・その客が映像のように
入って来る。かなり焦っていて、何かに逃げるように走っている男


ガチャ・・・


「いらっしゃいませ・・・何かお探しですか?」


「あの・・・サイト見たんですけど」

息が少し荒い。彼は汗を拭(ぬぐ)いながら答えた。

彼が来た理由も欲しがっている物も何故か分かる。

『闇の衣』まさに闇の販売所で最高峰の商品。


しかし・・・
私は知らないフリをして

「取りあえず・・・中へどうぞ」

・・・


「実は・・・さっき人を轢いてしまって」

「ほぅ・・・それは、また難儀ですねぇ」


・・・


彼はウソを付いている。
3時間24分前に人を刺し殺している。


私にはそんなことまで分かってしまう。刺し殺しておきながら

車で轢いたとは図々しいヤツ。


「その轢かれた人は・・・今病院ですか?」

「それが・・・スピードの出し過ぎで死んでしまったんです。
お願いします。助けて下さい!!お金なら・・・いくらでも払います」


勝手な人間。ウソまでついて助かりたいのか?

「サイトに書いてあった・・・壺を売って下さい」


彼が欲しがっているのは、恐らく煉獄(れんごく)の壺。

どんな大きな物でも一つだけ壺に入れる事が出来て、地獄の炎で焼き尽くす。

死体の処理に困ったか?

・・・


「なるほど・・・よろしいでしょう。ですが、この壺に人間を入れてはイケませんよ」


一瞬・・・


彼の顔に動揺が走る。


「そんなことは、買った俺の勝手だ。どう使おうが自由だ!」


いきなり怒りだす姿を見て思った。

お金さえ払えば、どうにでもなると思ってる。
そんなに自分が可愛いか?


「分かりました。では・・・こちらの商品2千万ですね」


彼は上着のポケットから小切手を取り出すと机に叩きつけ、


「早く持ってきてくれ!」

壺を奪うようにして帰って行った。

・・・


私には彼の未来が見えていた。壺に入れた物は灰も残らないほど燃え尽きる。

しかし・・・憎しみや復讐、怨念で構成された炎!!!

生死に関係なく人間を入れると

・・・


見えない殺人鬼となって、恨みをはらしに来る。


見えない殺人鬼に追われ・・・闇の販売所に助けを求めて来る。

2度目の来店が死に場所とは知らずに・・・

・・・



そこまで彼の未来が見えた。

・・・


「困りましたねぇ。こんなところで死なれると・・・私の方が死体処理に
困ってしまいます」

・・・


一週間後・・・
私の見た未来の通りに彼は死んだ。

初仕事で、初めて人の死を目の当たりにしたが『楽』以外の感情がない私は


「やれやれ・・・」



・・・


そんな客ばかりが闇の販売所を訪れた。

そして半年が過ぎた頃


ん?


ある日、いつもと変わらない午後の事。

闇の販売所は通信販売も行っていて、一つの注文が届いた。


「ん〜・・・?少しマニア向けの商品ですねぇ」

・・・


「確か在庫に・・・まだ『リアリティホラー』が有ったはず」



戸田という名前の申し込み人


リアリティホラーと呼ばれる商品を送ってから


2日後・・・


私は公園のベンチに座っていた。


記憶が無いから分からないが・・・落ち着くベンチ。

それと何故か、女子高生を見ると羨ましくなる。



「な〜んか、あのオッサンこっちばっか見て無い?」

「うわっ・・・キモいから行こ!!」


そんな会話が聞こえてきた。彼女達の目に私は・・・



オッサンに見えてるらしい


本来なら悲しむべき場面。

でも、私には出来ない。


彼女達が小走りに去って行くのを眺めて

一つだけ疑問に思った。


「そう言えば・・・私の名前。なんだったんでしょうね?」


知る必要も無かったが、忘れた記憶が多すぎる。


『失敗』『後悔』などの感情が出来ない分、心に穴が開いてる感じだった。


更に翌日・・・

「ん?また・・・お客様ですね」


心の中に誰かの映像が飛び込んできた。
50代くらいの男性で挙動不審


あと1時間27分後に来店する。

「さて・・・彼は何をお探しですかな?」

深く調べようと思った瞬間・・・


!?

激しい目まいに足元が、ふらつく
「何事です!?」


ガクッ!!

床に片膝を付き


ドン!


そのまま倒れこんでしまった。
「な・・・なに・・・が・・・」


薄れる意識の中で

最後に私が見たモノは

・・・



身体が透明になって行く自分だった。


目が覚めた


「うぅ〜ん・・・」


当然、気を失って倒れたまでは覚えてるけど、何処ここ?



「痛っ!」

腕を擦りむいて血が出ていた。


「も〜!いきなり・・・なんなのよ!?」


ん?


「あれ?私・・・?」


!!


身体を見て驚いた。

コートが無い

しかも



私としての意識がある。



「ん〜と・・・ん〜と・・・なんで?」
考えても仕方ない。


う〜〜ん・・・

ん?

やけに殺風景な森や道。


・・・



「そっかぁ〜」


直ぐに分かった。リアリティホラーの世界にいると・・・

「お兄ちゃん・・・私を苦しめておいて、まだ飽き足らずに殺すの?」

・・・


凄く切なかった
みじめと言うか悲しい


ボロ・・・ボロ・・・

あれ?
久しぶりの涙が、頬を伝って落ちる。


「今の私には悲しむことが出来る」

きっと封印された記憶が開放されたんだ。

・・・


悲しんでばかりは居られなかった。

ここは・・・お兄ちゃんが作ったゾンビの世界。

私を強制移動させたことを後悔させてやる!!!


バン!! バン!! バン!!


コートが無いとはいえ私はやみの販売所店主



不思議な力が時空を超えて伝わって来る。

ひたすら銃でゾンビを撃ち殺す

・・・


「うぅ・・・」
「ぐぅぁぁぁぁ・・・」


群がるゾンビを見て

ん!?



この人たち


私をレイプした人じゃない!?

実の兄として恥ずかしい。怒りを通り越して

空しい気持ちになる。


ザクッザクッ・・・


順調に草むらを歩いて行く。


多分・・・
もう少ししたらボスかな?


・・・



「え〜っと・・・アイツかな?」


身体中が腐った巨体のゾンビが見えていた。


余裕で近づいて行く。


ん?

ん?


ブッツン!

その音がした途端、辺りが闇に包まれた。


「・・・」


お兄ちゃんに、してやられた。電源を落としたに違いない。
また意識が無くなり始める。



何故なら、クリアしてしまうと


お兄ちゃんが、このゲームに引きずり込まれるから


「おや?私・・・何をしてるんです?」


床で寝ていたようで、ヨロヨロと起き上がった。


「え〜っと・・・」



確か、もうすぐ誰かが来店するはず。

眠ってしまった記憶が無かった。

「変ですねぇ」


・・・



ガチャ・・・


先ほどの映像で見た男が入って来た。

「いらっしゃいませ・・・何かお探しですか?」

・・・


空は



空は、いつにも増して快晴だった。



青空完了


闇の販売所〜〜〜おわり〜〜〜


『あとがき』では、第1話(ゲーム)から最終回(第20話)までの詳細を記載しました。

『闇の販売所』(番外編)更新中

1クリックお願いします。
短編小説 ブログランキングへ
posted by まさるっち at 23:31| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。