2012年05月05日

坂本香織∻後篇〜(第15話)

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坂本香織〜後篇〜(第15話)


『会長どこ行っちゃったんだろう』

のんびり空中で寝転ぶと心地よい

夜行性とか関係無いみたいで昼間でも眠くない。



親には迷惑ばっかり・・・

会長うまく やっててくれると良いけど


戻れないのは 分かってたけど・・・

それでも昨日の彼の言葉はショックだった。


『ハァ〜〜』
ため息しか出ない


私、これからどうなるんだろ?

この身体  確かに便利だけど


楽しくない。



闇の販売所・・・


『ただいまぁ』

「・・・」

『なによ!シカト?』

「・・・」

『ねぇ・・・あなた何者?人間?それとも

悪魔?』


・・・


「ここは、あなたの家ではありませんよ。それに私は人間です」

いつも闇の販売所にいる彼。
家族や素顔、性格に至るまで全くの謎に包まれた人。

何か目的にしているのかさえ分からなかった。

人間に変身した、妖怪か悪魔だと思っていた。

でも、人間と主張したから・・・
意外に驚いた。


『なんで、いつもフード被ってるの?そんなに不細工なわけ?』

・・・


・・・


「みたい・・・



ですか?」

『見せてくれるの!?見たい!!見せて!!』

背が高い方ではなかった。
すっごい男前だったら
どうしよ!?

・・・

フードを ゆっくりと

じらすように脱いだ。


!?



ウソ? ウソ ウソ ・・・






女の子。



『どういう・・・こと?』

「詳しくは、お答えできません」

『声とか喋り方から男性だと思ってた』

・・・

「このコートが・・・そう させてます。」


私よりも年下で、茶髪の髪。どこにでもいう女の子。


頭が混乱して
言葉が出て来ない。


『なんで・・・こんなお店やってるの?あなたくらいの年齢の子なら、もっと
・・・やりたい事とかあるんじゃないの?』


静かにフードを被り直すと
彼女は

「私が選んだ道ですから」


それだけ言うと
奥の方へ消えてしまった。

聞きたいことは山ほど あったけど

奥の部屋へ行くことが出来ない

諦めて街に出かける


歩かないって楽よねぇ〜♪


・・・


ん?


えっ?

一瞬止まってしまった。

人と目が合った。久しぶり人と目が合って嬉しくなった



けど・・・


なんで逃げるの!?

そりゃ私は浮いてて霊体だけど
・・・


少しムッとした私は追いかけた。


「ヒィィ・・・」


ん!?


彼は私以外の霊も見えているらしく

それらの霊からも追われていた。

沢山の霊たち


『うっわ〜!ひっさ〜ん』

見てて可哀そうになる。

いくつもの霊が彼を捕まえようとしてる。
何の為に?


壁や地面から多くの霊が出て来る。

この身体になってから何体かの霊は見たけど
一度に こんなに沢山見たのは初めてだった。


バタン!!!

興味本意で、付いてきてしまった!

彼は自分のマンションに逃げるようにして入って行った。


そう言えば・・・


彼も どっかで見たことあるのよねぇ〜


どこだったかなぁ〜・・・?

彼の部屋には・・・
お札が貼ってあり、中へは入れない。

諦めて消えて行く霊たち・・・


『あり?』

『おっ!おっ?』


スー


入れちゃった!
なんで?

浴室から入った私は・・・


『コレ全部?』

あらゆる場所や物に貼られたお札を見て驚愕(きょうがく)する


・・・


別にシャンプーは
良いんじゃない?


そのまま洗面所に出た。

水を使う場所に、霊が集まりやすいって聞いた事がある。


でも・・・貼りすぎ!!

大体・・・浴室なんかに貼ったら、お風呂使え無いじゃん。
ちゃんと入ってるの?


細い廊下を進んでいくと彼の部屋に出た。


わぁ!わぁ!わぁ!

声に出さなかったけど
凄い。


私には、気付かずパソコンと会話する彼が居た。

「たっかいなぁ!除霊香水

ん〜〜?何見てんの?

彼の後ろから そっと覗きこむ。

※これで あなたに近寄る悪霊から身を守れます。
この香水を使った方々から嬉しいお返事が各地から〜〜〜〜※



ネット販売

普通こんなの買わないと思うけど・・・

人の悩みって
色々あるなぁ。

お金払ってまで、こんなの要らないけど
彼は必死だ!

「香水買っとくか!」


えっ?まじ?

カチカチ・・・カチカチ・・・


・・・


結局、3万円分の除霊グッズを買った彼・・・


絶対、騙されてるって!!


そう言いたかった。

「ん?」

『ん?』


・・・


彼と、また目が合った。


「うぉ〜〜!なんで、この部屋に悪魔が!!!?」


「あっ・・・悪魔?」


彼は叫びながら数珠を持って読経を始めた。

誰が悪魔よ!失礼なヤツ!


ブツブツ・・・ブツブツ・・・


一生懸命お経を読む彼。

・・・

苦しくも何とも無かった。
でも悪い気がして


隠れる事にした。


彼が読経を終えると
「可愛い悪魔だったなぁ」

・・・

・・・


複雑・・・・・


二日間・・・

彼をいじめた。別に好きになったとかじゃなくて

私を見れる人間。
暇だし・・・面白いから!

な〜んとなく。


夜寝ている彼を天井から見下ろす。


あのリアクション!!
さいっこ〜!!


「よ〜し・・・今日も除霊グッズ買うぞぉ〜」

え〜!また買うの?
買ったばかりなのに・・・

またまた そっと覗きこむ。(今回は少し離れて)


闇の販売所?」


!?

彼は
闇の販売所というサイトを開いていた。


あのお店通販も・・・やってるの?

やめた方が良いよ!お兄さん。

彼は携帯を拾うと電話をかけ始めた。
「除霊の道具とか無いですか?かなり特別な除霊道具」


やっぱり買うんだ。
どうなっても知らないよ〜!

・・・

そして彼は電話を切ると「面倒くせ〜」という


ん?どうした?


バタン!

私の疑問など、お構いなしに出ていっちゃった。

・・・


サイト開いて
電話して
外出した。


多分 闇の販売所に行ったんだと思う。
でも、なんで行く必要が?


先回りして、闇の販売所に行くことにした。


闇の販売所・・・


「どうされました?そんなに慌てて」

『まだ来てないようね!』

「・・・」


『電話があったと思うけど・・』

「ええ・・・ありましたよ。彼氏ですか?」


その質問には答えずに『彼を、ここへ呼んだの?』

「彼の霊能力に興味がありましてね」


また何か・・・隠してる。単なる勘だけど。

『私、隠れてる』

「その必要はありません。彼の力もこの中では無力です。」

・・・


そして


ガチャ・・・


「いらっしゃいませ・・・何かお探しですか?」

彼を座らせると話が始まった。

「さて・・・先ほど電話でお聞きしましたが」

・・・

なんとも楽しくない話
彼の霊能力を買い取る事で話は終わった。


「ありがとうございました。なんか・・・ウソみたいですけど」

「こちらこそ助かりました」

「じゃ、帰ります」

「お気を付けて」

ドアが閉まる。

・・・


・・・


「なぜ・・・彼に付きまとうんです?」

『私、彼のこと知ってるの』

『私、夜の仕事やってて、同じ時期に入店した男性スタッフなの』

「なるほど・・・」

『話したことは無いんだけど、田舎から出てきたばかりみたいで
いつも何かに怯えてて人見知り激しくって
なんか・・・可愛かったんだぁ』


「・・・」

『だから、ちょっと いじめちゃった』

ピー・・・ピー・・・


なに?何の音!?

机の上にあるノートパソコンからだった。

「おや?さっそく先ほどの霊能力が売れたようです。」

『ふぅ〜ん。私、なんか気分良いから散歩行って来る』

「お気を付けて」


街を優雅に歩く女の子に見とれる。

良いなぁ・・・
オシャレに憧れる。
メイクを意識し始めた小学生の気分。

いつまで こんな身体なんだろ。


あれ?ん?


身体が・・・なんか

薄くなってる!


闇の販売所・・・

「おや?早い御帰りですね」


・・・

『身体・・・薄くなってる』

「そう・・・ですね」


・・・


『私・・・どうなるの?』

「恐らく・・・
桜井さんの寿命が残り少し、ということでしょうね」

・・・

・・・

『会長、死んじゃうんだ』



あれ?


なんでだろ?




涙が自然に・・・

止まらない。


『私、このまま あの世へ行っちゃうんだよね』

ポロポロと頬を伝う温もり


『いつか・・・
こうなるんじゃないかって思ってた。』

「・・・」

『なんか・・・ごめんね』

『私、あなたに感謝してる。最初は勝手に魂交換されてムカついたけど・・・

短い間に色んな経験出来て良かった。


ありがとう


さっきよりも薄くなっていく身体を見て もうすぐだな・・・って分かってる。


「・・・」

『本当に・・・ありがとう
今までの人生で最高に楽しかった。あなたも女の子なんだから
もっと、オシャレしなきゃダメよ』


「・・・」

『じゃあ・・・逝って来ます。』

・・・

・・・


「お気を付けて」



『うん』


・・・



「・・・」


「あの・・・少しお話しませんか?」

涙ぐむ私の後ろで彼女が囁いた。


『はなし?』

「死神が来るまで、まだ時間があります」


今さら なんの話が?


「よろしければキャスリングされませんか?」






キャスリング?』

「はい、チェスにキャスリングというルールが御座います。」

『チェス?なんの話?』


「キングとルーク。その駒を場所移動出来るルール。
ゲーム中に一度だけ使用可能で、キングが危険な時、
早めに終わらせたい時などに使います。」


何を言いたいのか サッパリ分からなかった。


「キングが危険な今!あなたがルークと入れ替わるのです」

・・・

『う〜と?つまり
私、助かるの?』


「あなたに、その意思があれば・・・ですがね」


・・・


「私・・・助かりたい!」


彼女が「分かりました」
そういうと何かボソボソと喋りだした。

1秒・・・2秒・・・
また催眠術?


睡魔が襲ってきて、瞼(まぶた)が重くなる。


あれ?でも
ルークって・・・ことは

誰か代わりに死ぬ人がいるんじゃ?


考えた時には

深い眠りの中へ・・・


ドタドタ・・・

誰か足音がして目が覚めた。
「うぅん〜・・・」


見覚えのある部屋


「なんで、こんなとこに?」

ん?


「ヒッ・・!?」

一樹の部屋だった。

誰の血?

毛布に付着した血に悲鳴をあげた。

・・・

私の身体は、なんともない。
なんで一樹の部屋なんかに?


一回で女の子の声がした。


生きてる。

坂本香織として生きてる。


色んなことがあったけど
私に戻れた。


・・・


廊下に出て一階を見下ろすと玄関先から女の子が走って来るのが分かった。


あの経緯は色んな意味でも私を成長させてくれた。
これからは人生をもっと大切に生きて行こうと思う。

・・・

二度目の坂本香織。

・・・


この日以来

闇の販売所を見掛けたことはない。


「ありがとう」


坂本香織終了

◇次回は運命です◇お楽しみに
より楽しんでいただくため、必ず第1話『ゲーム』からお読み下さい。


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posted by まさるっち at 16:23| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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