2012年05月04日

坂本香織〜中編〜(第14話)

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坂本香織〜中編〜(第14話)

悩んで出した答え。

もう一度

あの場所に行くしかない・・・


一日中
朝から書類に目を通して(適当に桜井とサイン)
鳴りっぱなしの電話対応した(うん、はい、分かりました。の発言のみ)

会議にも出席(うなずいてただけ)



・・・


これから毎日、こんなことしてらんない!



疲れた〜・・・

 
夕暮れ時
車の中で外の風景を眺めていた。夜行性の私は太陽が沈むと元気になる。


でも会長さんの身体だと無理だ・・・。あちこち痛くて眠い。


ん?あっ!!



私が歩いてた。

車内の時計を見ると、もうすぐ出勤時間。

大股で歩く私を見て
悲しくなる。
せっかくの私が台無しじゃない!!

向こうには私に気付いてない。

私も大変だけど会長も・・・


て言うか!


「身体ぁぁ返せ〜〜!!」


「ちょっと!!運転手くん!車止めてちょーだい!」

「えっ・・・運転手君?」

「い〜から!早く!!」


大人しく会長になるつもりなんて無い


とっ捕まえて、あの男の居場所聞き出してやる!


車を降りた途端

「くっ・・・」

片膝を付いて倒れる私。


「かっ・・・会長!大丈夫ですか?」


「いっ・・・息が出来ない。苦し〜い・・・」

「かいちょうぉぉぉぉ〜!」


運転手君の声が遠くの方で聞こえた


私は そのまま意識を失った。



ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・



ん〜
よく寝た気がする。


キョロキョロ・・・
集中治療室?脈拍計の音だけが室内に響き渡る。


二人の看護婦さんが小声で喋ってて


「桜井さんの癌細胞が肺にまで転移して、呼吸不全で居週間も意識不明なんでしょ?」

「そうなの。身寄りも無いみたいで・・・」


そっか〜桜井さん。癌なんだぁ


今さら
『え〜〜〜〜!とか
『ウソ〜〜?』とか
『聞いて無い〜』とか


言わないけど・・・


もっとビックリしたのは






浮いてるんですけどぉ・・・




幽体離脱


すごい!
怖いとか思わなかった。
自由に飛べて壁も通り抜けた


遊んでる暇はない。
早く
あの男に会って身体を取り返さないと!


身体を残して病室を出た。

一樹の家周辺を飛び回った。
わぁ・・・凄い!
気持ち良い



あのお店の場所が思い出せないでいた。


何処だったかなぁ〜



あれっ?


お店の代わりに妹発見。
何やってんの?


多分・・・迷子。
極度の方向音痴で可哀そうになる


・・・


一樹と妹のことを思い出す。


でも

私の妹は、人を疑うことを知らない
そんな妹が好きだった。



多分・・・一樹の口車に乗せられたんだと思う。


『もう〜何やってんの?この道さっき通ったでしょ!』

聞こえるはずない・・・のは分かってる


でも・・・


・・・ん?


妹が建物に入っていく


闇の販売所


ゴン!!


???


『なんで痛いの!?』

この壁・・・通り抜け出来ない。


ガチャ・・・


妹が出てきて、大通りの方へと歩いて行く
妹には悪いけど無視して


ドアを叩いた。


『ちょっと!!入れなさいよ!!』


ガチャ・・・


ドアが偶然開いた?

「おやおや・・・うるさい小鳥がいると思ったら」

『誰が小鳥よ?』


私、何も考えずに来たけど・・・

『あなた・・・私が見えるの?』

「・・・」

「この建物は結界で張り巡らされております。全ての能力が無力化される・・・
私も例外ではありません」

『ちょっと!私の身体返しなさいよ!おじいちゃんなんて詐欺だわ』

「写真を見なかったのは、あなたですよ。それに代金を頂いておりません」

『は?代金?そっちが半ば強制的に交換したくせに!』

「変わった・・・お人だ」


『どっちが?』

「先ほどの、お嬢さんを追いかけてきたのでは?」

『あ!そうなの。私の妹なんだけど、方向音痴で心配だから付けてきたの』


この時点で私は自分の身体の事なんて頭から忘れてた。

「大丈夫です。多分そろそろ・・・」



!?


「あはは・・・また来ちゃいました。あはは」


まるで妹の行動が分かってたみたい。
霊体の私を見て、会話もする。
人の魂を交換したり・・・


まさか・・・悪魔?



私が悩むのを無視して二人会話が始まっていた。


私は

『ねぇ?妹を助けてあげて』


「相当お困りのご様子・・・どうです?よろしければ当店の商品を見て行かれますか?」


かたくなに拒否する妹。それを説得するように


黒ぶち眼鏡を取り出した。
「この眼鏡なら、あなたを家まで導いてくれるでしょう」


『この眼鏡使ったら、妹は帰れるの?』

またまた無視する男に

『私がお金払うから、妹に眼鏡を渡して!』


「では・・・これを」

「あの私お金持ってないんで、またの機会に」

「いえ・・・確かに代金受け取りました」


大通りに歩いて行く妹を見送った。


「妹さん・・・追わないんですか?」

『眼鏡があれば、大丈夫なんでしょ?』

「・・・」

『あと、こんな身体なんだけど、お金どうしたら良い?』

「お金は結構ですよ。霊体との契約はタブーですから」

『えっ?でも・・・眼鏡』

「・・・」


闇の販売所

初めて知った店の名前。

ドアからだと建物の中に入ることが出来た。


『私、本当の身体に戻りたい』

「残念ですが・・・先ほど説明した通り、霊体のあなたとは契約できません。」


『そんなぁ〜!!じゃあ私は会長のまま?』

「・・・」



そんなの、あんまりだよね



夕刻・・・

「いつまで。ここに居るつもりですか?」

『良いじゃない。私、行くとこ無いんだもん』


・・・


何人かが来店して
来店した人が皆、商品を購入していった。


怪しい名前の品々。

説明を聞いてると、まさしく悪魔が使う道具だと思った。


「さて、私行くところがありますので」

『私も行くぅ〜』


もはや身体よりも、興味があった


公園・・・


「・・・」


『誰かと待ち合わせ?』

「・・・」



放置ですか〜〜?




ん?
誰かが走って
来た。



なんで妹が?


「おや?これは昼間のお嬢さん」


・・・


「私・・・追われてて」

「トイレに隠れなさい」


妹が公衆トイレに駆け込む。

追って来た人間は・・・



一樹だった。

ロングコートの男と一樹が言い争いを始めた。


指輪がどうとか言ってる。


こんなに怒ってる一樹は初めて見た。


というより口の悪さに幻滅



なんで、こんな男を好きになったんだろ?


「そうですか。もう手遅れですね」

男が、その言葉を発した瞬間

黒く長い手が、無数に地中から生えてきた。


「うわっ・・・おっ・・・なんだコレ?」


一樹の身体中を掴むと無理矢理・・・


「たっ・・・助け・・・たのむ。イテ〜よ
!たじうぐぁぁぁぁ」



悲鳴と一緒に
地中の更に奥へ・・・


なんか・・・
良く分かんなかったけど


スッキリした。


妹がトイレから恐る恐る出てきた。

「あの・・・ありがとうございます。彼、どうなったんですか?」

「あちらの世界へ連れて行かれたのでしょう。それに私は、この
指輪を探してましたから」


「あの・・・この眼鏡お返しします。お金払ってないし、それに怖いから」

「代金はあなたのお姉さんから頂戴しましたよ」

「私のお姉ちゃん・・・から?いつですか?先月からずっと行方不明なんです。
どこに居るんですか?」


!?


『お願い!!私のことは言わないで!!』


男に叫ぶ。


「申し訳ありませんが、どこに居られるかまでは」

「・・・」

「きっと近くに・・・いてらっしゃる」



『ありがとう』


男が妹にバス停までの道を教えて

何度も・・・

何度も、振り返っては頭を下げては歩いて行った。



「これで良かったんですか?」

『うん!

もう・・・


坂本香織じゃないから』



翌日・・・


空を、まったり移動しながら思った。

あの男の人
本当に何者?


最初は勝手に魂交換されてムカついたけど


昨日は優しいと思った。

闇の販売所の店長。


それしか分からない。
悪魔のような商品を破格で売りつけたり



そうかと思えば、妹を助けてくれたり


何が目的なの?


家族に会いたいなぁ。

このまま飛んでイケる距離なんだけど・・・


お父さん

お母さん





ごめんなさい。

会うと泣いちゃう!

それに


もう・・・坂本香織には戻れないから
会えない。


そう言えば会長が・・・



ん!?


昨日の公園に、一人でベンチに座る店長発見。


あんな所で何してんだろ?

見つけたい時に見つからないくせに!


「本当に・・・人間は憐れ生き物ですね」



「私も、そろそろですかね」

『なにが、そろそろなの?』

「いらしてたんですか。盗み聞きとはタチが悪い」



・・・



『一つ聞いても良い?』

『昨日の妹のセリフ覚えてる?』

「・・・」


『私の妹・・・確かに、こう言ったよね!



お姉ちゃん行方不明なんです。って


彼、どこに行ったの?


あなた何か知ってたら教えて!!』


「知ってどうするんです?あなたは昨日・・・坂本香織じゃない。そう
おっしゃったばかりですよ。

今のあなたには・・・


いいえ


これからの あなたには


知る必要の無いことでは?」


何も言えなかった。


ただ泣くことしか出来なかった。


その後・・・闇の販売所

お店の場所が変わった。


『なんで引っ越したの?』


「・・・」


「・・・」

「ちょっと事件がありましてねぇ」


それ以上は
何も聞けなかった。


夜・・・


多くのサラリーマンが行きかう交差点。
信号待ちをしている何人かが街灯テレビを見つめてる。



『ただ今、入ったニュースです。東京都にある倉橋さん宅の二階の部屋から
女性の刺殺体が発見され死後一週間以上が経過しており、警察では身元の判明を
急ぐとともに交際相手の倉橋さんの二男が先週から行方不明に・・・』



誰もが足早に家路を目指す中


「世知辛い世の中になりましたねぇ」



誰かが そう・・・呟いた。



坂本香織〜中編〜終了


◇次回は坂本香織〜後篇〜です◇お楽しみに
※小説を楽しんでいただくために、是非第1話(ゲーム)からお読み下さい。

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posted by まさるっち at 02:54| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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