2012年05月02日

坂本香織〜前篇〜(第13話)

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坂本香織〜前篇〜(第13話)


ジリリリリリ・・・・・・・・

「ん?」ゴソゴソ


ポチッ


スー・・・スー・・・

ガチャ



「お姉ちゃん!今日から仕事じゃないの?」

「ん〜・・・あと5分」

「もう〜!知らないからね!!」

「ふぁ〜・・・。眠い」

私は家族で東京に越してきたばかり


やりたいことなんて無かった。

典型的な夜型人間。


それだけの理由で お水をすることにした。

今日が初仕事


初出勤。というか体験入店

2時間くらいで帰っても良い上に嫌なら一日で辞めても大丈夫。

私には、持ってこいの天職かも!


「おっ!待ってたよ〜〜
香織ちゃん源氏名なんにする?本名はマズイからね〜」


「ん〜と・・・色々悩んだけど〜クミにします」

さっき広告で見た名前だった。

な〜んにも考えずに、接客した。

「クミです。今日入店しましたぁ!お願いします」

オヤジ相手にダルッ!とか思ったけど案外楽しい。


「クミちゃん。可愛いね〜終わったら、どっか遊びに行こう?」

「え〜〜でも〜私、今日初めてだから〜」

適当にぶりっこしてたら受けた。


「クミちゃ〜ん。お疲れ様〜〜!明日も出勤出来そう?」


・・・


それから徐々に人気が出てきて、2週間ほど経過すると指名客で忙しかった。

そんな時・・・

20歳の浪人生が良く指名してくれるようになってた。


「クミ!今日は なんでも飲んで良いよ。結構お金あるし」

「え〜!本当にぃ〜?じゃ〜ねぇ〜ピンドン(ピンクドンペリ)!!」

「良いよ」


クミクミ!って馴れ馴れしい。
でも・・・まぁ〜

毎日、来てくれるから我慢我慢。

浪人生なのに、なんで?
こんなに・・・お金続くわけ?

その浪人生と時を同じくして来店した人がいて・・・


名前を一樹。

明るくて優しくてカッコ良かった。

落ち着いた雰囲気と声
まさに理想に近くって

いつの間にか・・・一樹という男性に惹かれて行った。


そして

付き合っちゃった

会いたい。毎日でも会いたい。

一樹が好き・・・


でも彼は、昼間の仕事で会えない

それに・・・電車で会いに行くにも時間が掛った。


車さえ、あればなぁ!


「車?」


「うん。免許取ったけど車無くって・・・欲しいな〜なんちゃって」

「・・・」

やっぱり無理よねぇ
いくらなんでも車だもんねぇ!

もっと貢いでくれるドル箱いないかなぁ?


彼と一緒にいれるなら仕事なんてどうでも良い



同棲したいな!



せめて・・・。

電話かメールで繋がっていたい。

夜1時


トルゥゥ トルゥゥ・・・

「もしもし」

「あっ・・・ゴメン。寝てたよね?声聞きたくって電話しちゃった」

「まだ、起きてたから大丈夫だよ。仕事終わったら、うち来る?」

嬉しかった。

明日も朝から仕事なのに 会ってくれる気持ちが嬉しい。


仕事なんか・・・

「店長・・・今日 帰っても良い?」

「クミちゃ〜ん!どうしたの?具合悪いの?」

「ちょっと熱があるかもぉ」



もちろんウソ。

早く会いたい!

すぐにタクシーを拾った

1分1秒でも長く一緒に居たい。
男に対して、こんなに好きになったのは初めて。

だから

「もっと飛ばしてよ!!」

なんて言っちゃった。


一樹の家・・・

はやり真っ暗


あれ?

一樹の部屋の明かりが無い。

寝ちゃった?


ガチャガチャ・・・

なんかドロボウに入っちゃった感じ

合鍵を使って、静かに一樹の部屋を目指した。


うわ〜・・・

こんなことしちゃって良いの?

でも来ても良いって・・・一樹が・・・


ギシィ ギシィ・・・

いつも気にしない階段の音が妙に大きく感じる。


部屋のドアを開けると

「グォ〜〜グォ〜〜」


やっぱり寝てた。

電気を付けたら起しちゃう!

けど、この部屋は明かりが無いと危険だった。


なんせ


私の部屋以上に足の踏み場が無い

「イツッ!」

とか

「キャッ!」

小声でベッドに近づく。
なんか色々踏んじゃった。

やっと到着。

「お待たせ!会いたかった」小声で呟く


・・・


どうしよう?


買えろっかなぁ!起しちゃ可哀そうだし・・・


ん?

何か持ったままで寝てる一樹。



手帳・・・かな?

手帳なんか付けてるんだぁ。部屋から想像出来ない



・・・

・・・


見ちゃ



ダメ?


いくらなんでも、そればっかりは



ダメ!!!!




パラ パラ パラ ・・・・・


え〜っと?
『4月3日クミって言うキャバ嬢と知り合う。メチャ可愛い、んでセクシー
4月6日クミとメールで仲良くなる。本名を教えてもらった
4月11日香織とデート、そして初キス』



「うは!」

思わず嬉しくて声が出る

私ばっかじゃん

その歓喜は一瞬だった。


『4月22日 香織の家に行く。妹を紹介してもらったけど
香織より可愛い。コッソリとアドレスを交換した』

・・・


そこで終わっていた


・・・


ウソ?

今日が26日・・・


気が狂いそうになった。
あんなに大好きで大好きな一樹が・・・

よりによって妹と・・・

自然と目が膨らみ次から次へと涙があふれてくる。

私が悪いの?

早く好きになる過ぎた?

なんで?



ねぇ?なんで?

涙が止まんない!
一樹の家を出ると 知らない街を一人で歩いていた。


「遊ばれちゃった」


歩いても 歩いても 涙・・・


適当に見つけたバーで一人で酔った。

閉店時間と聞かされ店を出ると

また知らない街をさまよった。


早朝5時過ぎ・・・

何もかも忘れたかった時に、見つけた。


闇の販売所・・・


なんの店?酔ってた私には関係なかった。



ただ


誰でも良いから話相手が欲しかった。


「いらっしゃいませ・・・何かお探しですか?」

「おはよ〜ございまぁ〜す!酔ってて悪い?」


「・・・」

「なによ?黙っちゃって」

「いえ・・・ただ驚いただけで、ございます。」


「ねぇ〜?私の愚痴聞いてくれる?」

「えぇ・・・構いませんよ」


彼は黙ったまま 静かに聞いていた


くだらない話だったけど
今の私には 嬉しかった。


「もう・・・生きて行くの辛いなぁ。誰かと人生交換したい」


何気なく言ったセリフ


「誰でも・・・
よろしいんですか?」


「この際誰でも良い!!」
酔った私に怖いモノは無い。

「そうですか・・・では、うちの商品を試されては、いかがです?」

「商品?」

「はい。当店の商品で人生を交換出来るモノがございます。無理にとは
言いませんが、誰でも構わないとおっしゃるなら是非」

「本当にぃ〜?そんな事出来るの?」

「はい。あなた次第ですがね」
またまた、いつもの癖で、な〜んにも考えずに・・・


「じゃ〜〜!交換しま〜す。やっちゃってくださ〜いい」

酔うとテンションが上がる悪い癖


「分かりました。では・・・今はお眠り下さい。時が来たら起しましょう!」


催眠術

そんな言葉が似合う。

すぐに眠気が来て 温かい眠りに落ちた。

・・・


「そろそろ 起きて下さい」

誰かに声を掛けられた。

「ん〜あと5分だけ」





妹の声じゃない!!

ガバッ!



起き上がって気づく

「どこ・・・ここ?」



ロングコートの男の人が一人


「お目覚めですか?昨日のこと・・・覚えておられますか?」

「え〜っと、交換が どうとか」

「交換相手が先ほど決まりました。今からお越しにjなります」


「は?何言ってんの、冗談よ・・・じょう〜だん」

「残念ですが・・・聖域に冗談は通用しません。既に契約済です。」


狭く 窓もない部屋。扉が一つあるだけ・・・
昼か夜か判別のつかない場所で男が言う。


「もぉ〜あんまり訳の分かんない事言ってると警察呼ぶわよ!!」


起き上がり 一つしか無い扉を開ける。


ギィィ

私は家に帰りたかっただけ
牢獄のような冷たい空間が、生理的に合わない。



でも


扉の向こうは


「ウソ?」



果てしない

闇・・・・・の世界


「そのまま出て行かれても、止めたり致しません

ですが・・・その闇に出口はありませんよ」


「私・・・ただ酔っ払ってたから意識とかハッキリ無かったし


だから・・・」


怖かった。来てはいけない場所に来てしまったと思う。


「酔って人を殺したから、許して下さい。それが許されますか?
たとえ陶酔(とうすい)していても契約は契約です。」


「さ・・・殺人とコレとは別の話じゃない!」

「確かに 私なりの例えが悪かったのかもしれません。しかし、
軽い気持ちの口約束でも守って頂く義務がある」


「イヤよ!絶対にイヤ!!!」

「あなたに残された選択肢は二つ


・・・


永遠の闇か



他人の人生です」


「私・・・どうしたら良いの?」

「桜井という人物と魂と交換して頂きます。ただ・・・それだけです」


・・・


「そう」


・・・




「分かったわ」

何を言っても逃げ切れない。酒癖させ無かったら・・・私

もっと違う人生だったかも知れない。
素直に受け入れても良いかな

「こちらが相手の写真です」


「いいの!私・・・見ないから。生まれ変わってからのお楽しみ」


せめて私より可愛い女の子ですよ〜に!

「では、また・・・お眠り下さい。あなたが目覚めた時・・・
あなたは桜井純一郎という男性です。」



はい!?



チリリリン チリリリン・・・


ん?

目覚まし?違う音・・・


遠くで電話の呼び出し音が聞こえる。
昔の黒電話の呼び出し音


ん!!?

ひどい頭痛がする。


「いった〜い」


昨日飲み過ぎたせい?
うちに黒電話なんか無い。


「夢じゃ・・・無かったんだ」
拾い部屋。

大きくシワだらけの ゴツゴツした手。


ていうか
なんで男なわけ?


「んもぉ〜信じらんない!普通 女の子と交換するでしょ?」

・・・

更に鏡台の前で絶叫した。

「なんでよぉぉぉぉ〜〜!!」

おじいちゃんだし!

手見て 大体分かってたけど、せめて男でも若いのが良かった。



ピンポ〜ン・・


ピンポ〜ン・・・


電話とか来客とか
ホント忙しい家ねぇ〜!


誰も出ないのかな?


ピンポ〜ン・・・


誰か応対しても良いのに!
にしても広い家・・・



玄関何処よ?


やっと見つけた玄関。

「はいはぁ〜いい。今出ますから」

ガラガラ・・・



「ウソ?」


正面門まで、かなり遠かった。
あんなとこまで行くの?
来客用の電話あるんだろうけど・・・


「おはようございます。お迎えに上がりました。」

「お迎え?」


私・・・桜井って人のこと、何にも知らない!!



・・・


この迎えに来た人、どっかで見た事あるような・・・

どこだったかなぁ〜?


「会長!今日も顔色が優れませんが・・・」




「かいちょ〜〜〜????」



ぶぃ〜〜〜ン

車内の後部座席で戸惑いが隠せない。
桜井さんて、凄く偉い人みたい。
私、やってく自信ない。

「昨日の株式総会の事後報告書です」

「えっ?あっ・・・はい」
資料を受け取り

目を通しても分かる訳



ないじゃない〜〜〜〜!!!

何処かの会社に到着して唖然とした。

「うわ〜おっきい会社。やるじゃん会長!」

「では失礼します」

「えっ?あっ・・・私。いや・・・僕?俺?わし?
どこに行ったら良いの?」


・・・


「昨日の女性雑誌に影響され過ぎじゃないですか」

女性雑誌?

なんの こっちゃ!?


会長室



ブン ブン ブン ・・・


何度もソファの上で跳ねてしまう私。

き・・・気持ち良い!てか

呑気に遊んでる場合じゃ無かった。私、これから一生おじいちゃんのまま?


絶対にイヤ〜!


どうしたら良いの?

私・・・

自分に戻りたい。


坂本香織〜前篇〜終了


◇次回は坂本香織〜中編です◇お楽しみに
※くれぐれも、最初(第1話ゲーム)からお読みください。

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posted by まさるっち at 04:01| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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