2012年04月11日

心眼(第6話)

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心眼


「いらっしゃいませ・・・何か・・・・・・・・おゃ?」


「あ・・・・・ごめんなさい。私ちょっと道に迷っちゃったみたいで」


「なるほど・・・分かります。当店は普通の人には見つけられませんから」




「は?」



「いえいえ、気になさらずに・・・どこへ行かれる予定ですか?」


「私・・・こっちに出てきたばっかりで・・・・。マンション探してたら変わった
名前のお店だったから・・・つい」



「変わった名前ですか」



「あ!ごめんなさい。私そんなつもりじゃ」

「良いんですよ。ただ、このお店は一度来店してしまうと、必ず・・・・・もう一度
来店してしまうんです」




あっちゃ〜・・・・・変なとこ来ちゃった


「じゃ・・・私・・・このへんで」


「お気をつけて」



つい先月・・・父親の転勤に伴い家族で越してきた東京


超が付くほど方向音痴な私。初めての街での迷子になった。


たまたま通り掛ったお店で尋ねようと店入ったら・・・黒いフードで顔を隠した店員

なんのお店?




いきなり変なこと言われて困惑しちゃった。

え〜っと・・・地下鉄苦手だしなぁ〜


知らない街を一人で歩くのは好き。人間ウォッチングも好き。


これは神様が私に与えた試練に違いない!いつもそう思う。


試練を乗り超えるために地下鉄を探す。


何人かに道を聞いたけど


おっかしいなぁ・・・通り過ぎたのかなぁ。



10分ほど歩いた頃



ありゃ・・・


また来ちゃった。


闇の販売所・・・


「あはは・・・また来ちゃいました。あはは・・・は・・」


「こんなに早く再来店された人は、あなたが初めてですよ」


「あはははは・・・地下鉄を探してたら・・・来ちゃったみたいで」
「よほど・・・あなたが気に入られたようですね」



「はい?」


やっぱ間違えたぁ。また変なこと言い出すし・・・


「相当お困りのご様子・・・どうです?よろしければ当店の商品見て行かれませんか?」


「そんなあ・・・買う気とか無かったですから。ちなみに、このお店何屋さんですか?」


なんでも屋。とでも言いましょうか?人に便利な商品を取り扱っております」


「はぁ・・・便利な商品。ですか?」


「こちらなど、いかがです?」



男が差し出したのは黒ぶちの眼鏡



「この眼鏡なら・・・あなたを家まで導いてくれるでしょう」


「えっと・・・眼鏡がですか?」


「この眼鏡は目に見えない物を写し出す。例えば・・・人の純粋さ、人の寿命や考えなど」


ウソっぽい。仮にそれが本当でも欲しくない。お金ないし・・・



「では・・・これを」


「あの私お金持ってないんで、またの機会に」


「いえ・・・確かに代金受け取りました」



もらってしまった。


眼鏡するほど悪くないけど


店を出て眼鏡をする。特に変わったところは




ある!!


通行人にツノがあったり牙があったり
人の純粋さ?


性格が悪ければ悪いほど醜い生き物に見える。

男も女も口が裂けてたり、目が多数あったり・・・妖怪が歩いてる感じ。


これで・・・どうやって帰るの?

心が見えても、これじゃぁ帰れ・・・・・ん?


なに・・・あれ?



人の頭に文字が浮いてる。

これ・・・この人の今考えてることっぽい



(地下鉄乗って急いで会社に帰らないと)



地下鉄!?


この人についていけば地下鉄に行ける。



(今日の夕食は簡単で良いかなぁ)

(早く帰って夕飯作って・・・それから)

(あの子ちょ〜可愛い。こっち見た)


人の考えてること・・・全部見えちゃう。妖怪みたいな人ばっかりで違う世界に
迷い込んだアリスのよう


これってかなり便利よねぁ。使い方によっては人生変わる



にしても・・・みんな

普通のことしか考えてないのよねぇ


「ただいまあ〜」

「おかえり!どこ行ってたの?」

「うん。ちょっとブラブラ」

あんなに優しいお母さんでも耳が大きくて口が裂けてる


やっぱ普通に澄み切った心の人間なんていないよねぇ



みんな欲の塊。多分赤ちゃんとかじゃないと。


でもお母さんは・・・まだマシな方。

お父さんなんて、漫画に出てくるような悪魔だった



私ってどんなだろう?


鏡を前に緊張する私


ドキドキ・・・


すっごい怪物だったら、どうしよう。
意外と普通だったりして!お父さんより醜かったらイヤだなぁ・・・


眼鏡を掛け直す。


そして



「あれ?」



「普通じゃん」


何度も眼鏡をズラして見たけど、いつもの私。



違う!


私の思ってる事が浮いてない


自分自身の心は読むことが出来ないんだ。自分の事は自分で分かってるから
当り前か。


でも、こんな便利な物


あの人は確かに『代金は受け取りました』って急に言ったけど



私・・・1円も払ってない


私自身の姿は誰かに見てもらわないと分からない


他人に自分の心を見られるなんて絶対にイヤ!!


それに、どう説明して良いか分かんない。



ん!



携帯が鳴ってる

あっ!彼氏からだ。


こっちに来てから知り合った4歳年上の彼氏。

すっごく優しくてカッコいい。
一目ぼれに近い
大切にしてくれる彼氏からだった



「もしもし」


「もっし〜・・・何してんの?暇してんなら俺んちこない?」


「うん」




彼氏に興味があった。眼鏡越しに見る彼に・・・



一番人間らしくあってほしい。大好きな彼氏


期待しちゃダメ!って分かってるけど。目や口が裂けてるかもって分かってるけど



このまま付き合って結婚にでもなったら


見ない方が良いかも

醜かったら?


ううん・・・大丈夫!


取りあえず眼鏡はずしとこ

バスに揺られて、外の風景を眺める。色んな人と色んな建物



あれ?



今日、彼氏って仕事じゃなかったっけ?勘違い?
休みなら会ってたはずだから・・・

え〜っと・・・


まっ!会ってから聞けば良いか


早く着かないかなぁ・・・



ピンポ〜ン・・・


・・・


・・・



ガチャガチャ

「おう、上がれよ」


「うん」


いつもの何気ない会話
その彼の声も好き。低くて落ち着いてて癒される


彼の部屋は、男の部屋って感じで来る度に汚れてる。


もう〜・・・しょうがないなぁ!



「今日って仕事じゃなかったっけ?」

「ん?・・・あぁ・・・ちょっと体調悪いから休んだ」



凄く元気そうなんですけど。
「そんなことよりさぁ・・・先週すっごいもん拾ったんだよね〜。
じゃ〜ん」


そう言って彼が私に見せてくれたのは


シルバーリング。



ごく普通のシンプルな
シルバーリング


「ちょっと眼鏡かけてイイ?」

「目・・・悪かったの?」

「うん。ちょっとだけね」



大丈夫・・・彼なら大丈夫



・・・



・・・


「ひっ・・・」

思わず口をふさぐ


「おい・・・どうしたんだよ?」

「いやっ!!来ないで」



彼の腕を思いっきり振り払う。


今日一日沢山の人を見てきた。
色んな人の心の顔を見てきた。
みんな少しずつ妖怪化してる感じだった。


けれど



けれど・・・彼は



目が顔の至るところにある。口からは更に口があって・・・全身が緑色

触手が何本もあり・・・腕や触手にも目がある


人の形すらしてない・・・気味の悪い生き物。幾つもの目が私を見つめる。



「どうしたってんだよ?取りあえず落ち着けって」


「・・・」


「大丈夫か?」


「うん」


だおうしたらいい?私には優しいけど、裏で何をしてるのか分からない彼

騙されてた?

あんなに好きだった彼が、あり得ない姿だった。


「さっきのこの指輪なんだけどさぁ・・・絶対驚くよ!」

「・・・」


「この指輪を・・・ハメると・・・」
「・・・」



「じゃ〜ん」





「なっ?すげ〜だろ?」


???


「そして外すと・・・ほら」


??????



「なっすげ=もん拾っただろ?」


「う・・・うん」


私には緑色の怪物がリングをハメたり外したりしている姿しか分からなかった。



何が・・・すごかったの?


「ちょっと飲み物取ってくる。何が良い?」

「うん。なんでも良い」


うわのそら・・・


彼の部屋を掃除しながら
「ハァ〜」

ため息しか出ない。どうしたら良いんだろう?



ん?


クローゼットで何か光ってる蒼白い光


なんだろ?

クローゼットを開けて

「うっ・・・」


声を上げそうになって必死に堪える




死体・・・と分かる。血だらけの毛布に包まれた一部から・・・。

女性の腕


人殺し。


信じてた彼が・・・


急いで鞄を持って階段を降りる。

「ちょっと・・・どうしたの?」

「ごめんなさい」


靴も履かずに外に出てガムシャラに走る。


後ろから追いかけてくる緑の物体

逃げても逃げても逃げても・・・執拗に追いかけてくる。


角を曲がったところに公園。隠れなきゃ



「おや?これは昼間のお嬢さん」

この人・・・眼鏡の・・・


「私・・・追われてて」

「トイレに隠れなさい」

急いでトイレに隠れる。



「なぁ?ここら辺で女の人見かけなかった?」

「見かけませんでしたが・・・」

「そうか」


「おや?あなたが中指にしている指輪・・・どこで?」

「どこでも良いだろ!今急いでんだ」


「その指輪は私が先週落とした物です。返していただけますか?」

「これは買ったんだ!何言ってんだ?」


「私を怒らせない方が良い。それに・・・その指輪は人間には扱えない」

「あぁ?人間には扱えない?じゃあ犬や猫が指輪すんのか?あぁ?」


「その指輪の名前はダークネスコントラクト。ただ透明人間になるだけの指輪じゃ
ありません」


「・・・」


「闇との契約リング・・・。その指輪をハメたトータル時間、分かりますか?」


「さ・・・3、4時間・・・」


「そうですか、もう手遅れでしたね」



「なにがだよ?」


「・・・」


「うわっ・・・なんなコレ」








地中から沢山の黒い腕が緑の物体を掴む。そして・・・そのまま地中に押しこむ
緑の物体が揺らぎながら少しずつ埋もれて行った。悲鳴とも・・・つかない叫び声を
発しながら・・・



「あの・・・ありがとうございます。彼・・・どうなったんですか?」

「あちらの世界へ連れて行かれたのでしょう。それに私は、この指輪を探してましたから」



「あの・・・この眼鏡お返しします。おかね払ってないし、それに怖いから」


「代金はあなたのお爺さんから頂戴しましたよ」


「私のお爺ちゃん・・・から?いつですか?先月からずっと行方不明なんです。
どこに居るんですか?」


「申し訳ありませんが・・・どこに居られるかまでは」


「・・・」

「きっと近くに・・・いてらっしゃる」


「その眼鏡は持っておくと良いでしょう。これから役に立つかも知れませんから」

「はい・・・ありがとうございました」


「この道を真っ直ぐに行けばバス停に着きます。そのバスに乗れば家の近くまで
帰れるでしょう」


「はい」


怪しいとか思わなかった
何故・・・私の家を?この時そんな疑問を考える余裕がなかった




「これで良かったんですか?」


「・・・」


男が空に向かって言う。


バス停留所・・・


あと5分ほどでバスが来る。


そういえば、眼鏡を掛けて初めて普通の人に出会った。
目はフードで分からなかったけど・・・口や鼻が人間だった


バスの一番後部座席


お爺ちゃん・・・どこにいるの?捜索願いを出したのは数日前



あれっ?


この人も・・・?この子供まで

途中何度か停留所から人が乗り込む


後ろの座席から前に移動して見た。

この人も・・・いや・・・!乗客全員がそうだった



全員が緑色の顔をしている




なんで?


ドン!?



!!!!!!!!!!


ガッシャーン!?・・・バスがゆっくり横転して落ちて行くのが分かる。


誰かの悲鳴が聞こえた。



そっか・・・・・そういうことか!
この指輪の・・・もうひとつの能力忘れてた。


人の心の純粋さ

人の心を見透かす

そして

緑色は・・・その人の死期が近い事を示してたんだね

私・・・



まだ死にたくない



心眼終了



◇次回は穴です◇お楽しみに

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posted by まさるっち at 20:28| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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