2012年04月08日

不老不死(第4話)

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不老不死

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
夜の人ごみをひたすら駆け抜ける。

人々のほとんどが走る影に気づいてないのか・・・無視してるのか


今捕まる訳にはいかない
脚が折れてでも逃げ切ってやる



絶対に・・・



「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


かなり走った。でもまだ逃げなくては・・・





今から5年前・・・

まだ中学2年だった俺をオヤジが見捨てた。

ある日突然見知らぬ男達が家に入ってきて・・・何か話し合いをして
訳も分からず母親が平手で打たれてる訳が分からなかった。


原因はすぐに分かった。
父親の借金


土地や家が無くなった一家


父親は高校の教師をしていて不自由なく生活をしていた


中流階級で土地 家 財産

借金なんてあるはずがなかった


しかし家や家財、土地は全て売りに出されていた。




なぜ?



定年停職間近の父親は退職金も受け取らずに




行方不明



大金を手に入れて行方不明になった親父


そして・・・なにもかも失った俺と母親



生まれ育った家を追い出され施設に預けられた。


母親も・・・すぐに行方をくらました



結局・・・両親に見捨てられた。



家を出ていく当日

父親の書斎で見つけたメモ


あり得ない内容


見つけた手紙・・・

俺や母親に対しての謝罪が書かれてた。


夢を叶えるために全てを売り払い、そして家族を捨てた。




最低だな!!!!




親父は闇の販売所という店から夢を買ったと書いてあった。



そんな大金で買った夢



それは




タイムスリップすること


歴史オタク


その夢を実現する為に俺の人生が終わった。


帰る場所は施設



なんでだよ親父?
そんなんの為に家族とか全部捨てたのか?
そんなに大事な夢か?



それから、ずっと探している。闇の販売所・・・


電話帳やら市役所・・・ネットにも無い。


アルバイトで貯めた金で探偵も雇った。



手掛かりゼロ



1時間ほど前 仲間3人で騒いだ帰り。



「いってぇなジジイ」


ぶつかって来たジジイに絡んで殴ってやった。


ジジイは必死に謝っている。なんだこのジジイ・・・服装がB系


もっかい殴った拍子に封筒が落ちる。



ん?



なんだ?







「それだけは勘弁してください」


すっげ〜大金・・・


100万の束が6・・・

スゲ〜・・・


「これで勘弁しといてやる。おい、行こうぜ」



後ろのほうでジジイが叫びだした。


すぐに俺達3人は走り出す。


「はぁ・・・はぁ・・・」



5分ほど走って路地に逃げ込む。
「おい・・・いくらあんだよ」
「あ〜・・・600万・・・」



「マジで?スゲーじゃん。今から風俗行こうぜ」


「そうだな。取りあえず3人で風俗行って飲み明かすか・・・」
「マジ!ラッキーじゃん」


他の2人が勝手に話を進める。


600万もある。3人で割ったら200万・・・


ブスッ・・・


「グゥァ・・・なっ・・・何すんだよ」



持っていたサバイバルナイフで一人の脇腹辺りを刺した。


「う・・・うるせ〜!この金は・・・俺んだ」



必死に逃げた。



「おい・・・待てよ!おい」

もう一人が追ってくる。


これだけあれば・・・あんな奴らと組まなくて良い
母親も探せる・・・オヤジも・・・


「待てぇぇぇコラぁぁぁぁぁ」


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」


逃げて逃げて人ごみに紛れる


「はぁ・・・はぁ・・・」


捕まる訳にはいかない。



「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

時折後ろを振り返る・・・いない



「はぁ・・・はぁ・・・」



呼吸を整えて歩き出す。


これからどうする?


もう施設には戻れない。


とにかく身を隠すためにネットカフェに入った



喉がカラカラだ。
取りあえず冷たいモノ



そして個室に入った



とりあえず寝よう


そう思っても・・・大金と人を刺した感触が、そうさせない。


あっ!しまった。



凶器のナイフが無い

今から取りに戻るか?



いや・・・マズイ・・・



捕まったら殺される。


ネットで逃げ道を探しながら働く場所を探そう


そう思った。この街には・・・もう居られない



パソコンなんか5年以上使ってない。



あれっ?




どうだっけ?



・・・



・・・



・・・長い・・・




ん?



あれ?


なんで?





闇の販売所・・・




たまたま?


あれだけ探しても無かった・・・のに


偶然見つけた。必死だったからかもしれない



もちろんアクセスした。



商品と言っても聞いたことの無いモノばかり



怪しい名前

そして



・・・



住所の記載がある




かなり近い



行ってみよう。



あった!!


路地裏から離れるようにして佇む店


店内が少しだけ明るい


誰かいるような・・・



ここまで来たんだ。入ってみよう



裸電球に事務椅子だけの店内


店じゃ・・・ないのか?



「いらっしゃいませ・・・何かお探しですか?」







いつの間に?


後ろに男が立っていて問いかける。


「いや・・・ちょっと聞きたいことがあって」


「はい・・・なんでしょうか?」
「この店・・・タイムスリップって売ってるんですか?」



「・・・」



「ここではなんですので中へどうぞ」



椅子に座らされて、男は立ったまま・・・こちらを凝視する。

「聞きたいこと!と言われましても、お応えできかねますが・・・
確かにタイムスリップならうちの商品ですねぇ」


「それを買った男を覚えてるか?」


「・・・」



「俺のオヤジなんだよ。どこにいったんだよ?タイムスリップとか
言って、本当は金だまし取ったんじゃねぇのか?」


「これは人聞きの悪いことを・・・」


「分かりました。あなたに少しだけお見せしましょう」



・・・



「過去を」


この闇の販売所そのものを信じて無かった。


でも・・・違った・・・



ここどこだ?
見覚えのある・・・椅子 家具 机にカーテン
一人の男が机に向かっている。


オヤジ?


俺が最後に見たままのオヤジ



「おい!オヤジ・・・お前一体何やってんだよ?おい」


無造作に肩に手を掛ける


けど



すり抜けた。



過去にいるんだ俺!昔の家・・・オヤジの書斎。
今・・・俺が住んでいた家は違う家族が住んでて・・・昔の
風景のままだ



「私のワガママを許してくれ」


「えっ!?」
俺に言ったのか?



違う。多分・・・残される俺と母さんに言ったんだ


荷物をまとめてドアを開けるオヤジ。


コンコン

俺の部屋をノックするオヤジ


「うっさい」


当時の俺がドア越しに言うのが聞こえる。


悲しそうにうつむくオヤジ。そして無言で出て行った。



なんで・・・俺・・・うっさいなんて言ったんだ


当時の俺と今の俺、あんま変わんねぇな。



電柱に隠れながらオヤジの後を追う



そっか!別に隠れる必要なんて無いか。



電車を乗り継ぎついた場所・・・


闇の販売所


場所が違う。・・・けど間違いなく闇の販売所・・・



一緒に入ってみると広い空間に椅子と男だけ


「いらっしゃいませ・・・お連れ様もご一緒ですか?」



「連れ?」



・・・



「これは失礼しました」


闇の販売所店員と目が合った。


コイツには俺が見えている。
そして・・・知らないフリをした。
なんだ?この店員


俺を無視して、話始める二人
「心の準備は出来ましたか?後悔なさいませんか?」


「あぁ・・・やってくれ。家族にも別れを言ってきた」



なっ!!!



そんな別れなんて聞いた覚え無いぞ!

「分かりました。では、いつのどの時代に行かれますか?」



「日本の愛知県で1560年に行きたい」



あん?



また真っ暗な世界に包まれる。

おい!待てよ!!



そっから どうなるんだよ?


頭が重い!頭痛のような感覚で椅子に座ったまま目を開ける。

「いかがでしたか?あなたが見てきた・・・過去・・・」


「ありゃ・・・本当にオヤジなのか?」


「それはあなた自身が確認したはず」


「今の俺みたいにオヤジは過去に行ったんだろ?その後のオヤジは
どうなったんだよ?」


「今あなたが行ったのは魂だけです。そしてあなたのお父様が行かれたのは
身体と魂両方です」


「じゃあ・・・オヤジは?」


「俺さぁ・・・夢だったんだよ」

「と言いますと?」


「いつかオヤジ見つけたら一発ぶん殴って・・・それで母親と3人で暮らす
夢があったんだ」



「それはまた・・・親孝行ですねぇ」

「でも、もう諦めた。叶わねえ夢追いかけてもしようがねぇだろ?」



「俺さっき人刺したんだよ」


「それはまた・・・物騒な・・・」


「怖くねぇのか?オッサン」



「私、オッサンと呼ばれるような年齢では無いんですがね」


「どっちでも良いよ。・・・なぁ?」
「はい」


「俺に・・・なんか売ってくれよ。今600万ある。これで人生変わるような
もん売ってくれ」


「なるほど・・・分かりました」



「でしたら永遠の命などはいかがですか?」



「いいねぇ。本当にそんなもんが存在するなら不死身になりてぇよ」


「本当は2億は下らない商品ですが・・・値引きいたしましょう」




2億?



バッカじゃねぇの?値引きすぎだろ



「よろしいですか?不老不死になれば決して死ぬことは許されませんよ」



「構わねぇ・・・やってくれ」



「・・・」





「お客様こういうお話をご存じですか?あるところに親孝行の青年がいて
、彼は正直者で親切だった」


「・・・」



「ある時・・・両親が流行病に倒れて泣き崩れていると、神が舞い降りて
正直者の青年に三つの願い事を叶える約束をしてくれた」



「さっそく青年は両親の病気を治すようにお願いした。すぐに元気になった
両親は、いつも通り生活を続けた。しかし寿命には勝てず両親は他界した」



「・・・」



「そこで青年は二つ目の願い事に両親を生き返らせて欲しいと願った。しかし
生き返ったのは全身が腐ったゾンビの両親だった」


「・・・」



「夜に『ただいまぁ・・・開けておくれ息子よ』とノックする両親。困った青年は
三つ目のお願いをした」

「この三つ目の願い事・・・お客様には分かりますか?」


「さぁ?両親を消してくれ・・・かな?」




「いいえ違います。三つ目の願い事は自分もゾンビにしてくれ・・・だったそうですよ」


「バカじゃん。もっと有効に使えっての!」


「今の話を聞いても・・・永遠の命。受け入れますか?あなたは、まだ母親が居るじゃ
ないですか」


「いや・・・いいんだ。俺を捨てた人間だ。それに不老不死になってりゃ・・・いつか
良い事がある」


「そうですか・・・では、商談成立ですね」



「イテテテ・・・イッツ〜」




あん?どこだここ?



ここ・・・ネットカフェじゃねえか


いつの間に寝てたんだ!?

あれ全部夢だったのか?



夢か・・・



今何時だ?


やべっ!もうすぐ退出時間だし


やけに身体が重い


あっ!



あれ?


金が無い・・・600万が無い!

さっきの個室か?


クソ!


急いで店員に訳を説明して個室に入った



無い・・・無い・・・無い・・・



どこにも無い



闇の販売所・・・夢じゃなかったのか?



ぼ〜っとした頭を抱えながら店を後にした。

参ったなぁ〜。もっと違う事に使っとけば良かった。


一瞬で大金が無くなった途端・・・普通の思考に戻ったように思う。


あんときは逃げてたし・・・動転してたから
今考えたら不老不死なんて要らねぇ




ん?



なんだ?


道路を挟んだ向かいの公園入り口に沢山の人だかり


パトカーも数台



まさか!?

アイツ死んだんじゃねぇだろうなぁ?



昨日刺した場所とは、かなり離れてる。

それに後ろから浅く刺したつもりだ



いや


違う事件かもしれねぇ


ちょっと・・・確認しとくか


「はい、下がって下がって」
警察が野次馬を後ろに押し戻す



「なんかあったんすか?」



近くにいたオッサンに聞いてみた。


「あぁ・・・なんでも人が死んでたらしいよ」






死んでた?


アイツか?


野次馬を押しのけて先頭に躍り出る



違った。アイツじゃない


でも


逃げなきゃ!?



死体の顔を確認して、素知らぬ顔で歩き出す。


アイツじゃなかったけど・・・


死んでたのは・・・昨日の





ジジイだ・・・・・




ヤバい!?あのジジイの衣服には俺の指紋が付着してる


早く遠くへ


出来るだけ遠くへ逃げよう。


連れを刺して大金も無くなった。施設にも戻れない


所持金は



270円・・・クソ!


タバコも買えねえ


元カノ頼ってみっか!




取りあえず地下鉄だな。

確か230円で行けたはず。


腹減ったぁ!不老不死だから死ぬことは無いっしょ。



昨日から動きまわってるせいか空腹で辛い


元カノんちまで行けば・・・



「おい・・・やっと見つけたぜ!」


「ん?ヤベッ・・・」



空腹も忘れて走り出す。



クソ・・・ついてねぇなぁ。


ん!



一人・・・二人・・・三人・・・四人



おいおい・・・


何人仲間呼んでんだよ!?





げっ!?行き止まり・・・!


「ぐうぁ・・・」


いきなり後頭部に痛みが走る。


「おい・・・600万どうした?このおとしまえどうすんだ?あぁ?」


「へっ・・・もう・・・ねぇよ・・・」


「うぐぅえ〜」



腹に重い蹴りが来て・・・頭や腕 背中 全身に痛みが・・・


気を失った。



「うぅ・・・痛っ・・・アイツら無茶しやがって」


イテテテ・・・




どんくらい気失ってたか分からない。暗さから夜だと分かる。

「悪い事はするもんじゃねぇな」



えっ?マジかよ?冗談だろ?
痛みで下半身の感覚が無かったからか・・・

椅子に縛り付けられている上に膝から下にはセメント

すでに固まっていて動かない!
冗談きついぜ!?


「目ぇ覚めたか?刺して逃げたりしなきゃ助かったのによ」

「おい・・・冗談だろ?ただ刺しただけだぜ」


「ただ刺しただけ?」




「ぶぅぇ・・・」




木刀で何度も殴られる。そして声も出ない位にガムテープを巻かれた


おい!止めろ!?止めてくれ・・・俺は死ねないんだ





止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ




ザッブ〜ン・・・



あ〜あ



落とされちゃったよ。残ってた酸素が海上に上がっていく。



やべ・・・死んでしまう・・・苦しい・・・誰か・・・助け・・・て・・・




死んで。生き返る・・・苦しみ・・・そして死。生き返る・・・苦しみ・・・死ぬ。

生き返る・・・・・・・



永遠の命なんて望むもんじゃねぇ


終わりの無い永遠の苦通螺旋・・・



永遠の命は・・・永遠の地獄でしか無い。



不老不死終了



◇次回は箱です◇お楽しみに

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posted by まさるっち at 23:59| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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